性格の不一致が理由で離婚できる?
約60%の離婚は性格不一致が原因
離婚する夫婦の約60%は、性格の不一致が原因で離婚を決断すると言われています。誰しもお付き合いを始めた当初は相手の良い面ばかりを見ようとするものです。ですが結婚して夫婦として一緒に暮らし始めると、どうしても相手の嫌な面や自分との価値観の違いが目に付いてきます。
最初のうちはただ不満に感じるだけかもしれませんが、そうした違和感が積み重なっていくと、やがては相手のささいな部分さえ許せなくなってくるかもしれません。これが、性格の不一致による離婚のメカニズムです。基本的にこのような理由で離婚を決断する場合、双方共に同じように感じていることが多いため比較的協議離婚が成立しやすいといえます。もっとも中には調停離婚や裁判離婚に発展する場合もありますから、油断は禁物です。
離婚裁判では性格不一致は認められない?
性格の不一致だけが理由で離婚しようとする場合、特に注意しておくことがあります。それは、協議離婚なら成立するものの調停離婚や裁判離婚は認められない、ということです。なぜなら「性格の不一致」は、法律で定められた「離婚原因」ではないからです。
協議離婚の場合は、お互いの合意さえあればどんな理由でも離婚することが可能です。もちろん、性格の不一致という理由でもOKです。しかし裁判所の手続きで離婚を認めてもらうには離婚原因が必要になるため、単純に性格の不一致という理由だけでは離婚は成立しません。
もし離婚交渉が難航して調停や裁判に進む場合、どうしても離婚したいのであれば法定の離婚原因とその証拠を提出しなくてはなりません。
たとえば、相手との生活で精神的なダメージを受けていることや家庭内別居が長年続いていることなど、結婚生活が破綻状態にあることを裁判所に対して具体的に証明する必要があります。
性格不一致が原因で慰謝料請求できる?
原則として慰謝料は、離婚の原因を作った有責配偶者から請求することができませんし、責任がない配偶者に対して請求することができません。これに対し、性格の不一致という理由で離婚する場合は夫婦の両方に責任・原因があるか、どちらにもないかのどちらかが普通です。
ですから性格の不一致による離婚で慰謝料を請求することは、現実にはかなり難しいです。もっともどうしても離婚をしたいというケースでは、夫婦の一方が慰謝料ではなく解決金などの名目で金銭を支払うことがあります。
これは一種の手切れ金のようなものといえるでしょう。
性格の不一致を理由とする離婚の方法
性格の不一致を根拠に離婚を目指す場合、まずは協議離婚で話をまとめるのが一番です。もし話がこじれてしまったら裁判所での手続きをすることになりますが、その際は法定の離婚原因とその証拠をしっかり示さなくてはなりません。
一般の方がひとりでこれらの準備や証拠集めをするのは非常に困難です。ですから、初期の段階から専門の弁護士に相談しながら準備することをお勧めします。特に価値観に違いがある場合、当事者同士の話し合いは難航することがほとんどです。
そのようなときは双方の話や意思をしっかり聞いた上で、公平な「法律」で解決の糸口を探すことが肝心といえます。ぜひ、経験豊富な弁護士にご相談ください。